多分、高校の入学祝だったと思いますが、両親に万年筆を買ってもらってとてもうれしかったことを、今でも鮮明に覚えています。万年筆と腕時計は大人の象徴のように思っていたからです。
余談ですが、腕時計は中学の入学祝に祖父母が買ってくれました。しかし、中学校では腕時計をすることができまず、日の目を見たのは高校生になってからです。こちらも本当にうれしく一日に何回も、腕時計をした自分の手首を見ていました。
コラムを「ひとり言」に変え、カバーに原稿用紙と万年筆の写真を使ったのはそんなことを思い出したからですが、もう何年も万年筆を使っていません。
編集者になってしばらくは原稿用紙を使っていましたが、原稿を書くのは万年筆ではなく鉛筆でした。その後は、ワープロ、コンピュータとなり、万年筆どころか、鉛筆もボールペンもほとんど使わなくなってしまいました。
そう言えば、ワープロを使い始めた頃、ワープロで打った手紙をお送りしたら、「ご丁寧にタイピングいただき、ありがとうございました」といったようなお返事をいただきました。私にすれば手書きよりもずっと楽と言いますか、手抜きの手紙でしたが…。
その後、ワープロが普及して、今度は手書きが貴重になってきました。お礼状など同じような文面のものは、便せんに手書きで、原稿のタイトルや日付、相手の名前などを空欄にし、コピーを取って、相手に合わせて空欄を埋め、ファクスで送付するようになりました。相手からは「ご丁寧に手書きのお手紙をありがとうございました」という返事が届きました。
いずれのケースも、その時の状況に合わせた手抜きの(合理的な?)方法ですが、近頃では、メールやラインなどでのやり取りですから、相手に覚えていただける私らしいやり取りは難しくなってきているように思います。万年筆を復活させ、たまには手書きのお礼状を送るのもいいかもしれません。…、その前に文字を書く練習が必要そうですが。
活動再開します
新型コロナウイルスの感染によって私たちの仕事や日常生活が制限されるようになってから早3年の年月が過ぎようとしています。感染拡大は世界中におよび、今もなお収まる気配は見えません。しかし、訳の分からなかったウイルスも少しずつ解明され、ワクチンや薬ができて、コロナ以前の状況に戻りつつあります。
この3年間、大切な人を失ったり、離れて暮らす家族や友人と会えなかったり、仕事がうまくいかなかったり…、私たちはたくさんのものを失いました。しかし、得たものもありました。人と人との出会いや絆がどれだけ大切なのか知ることができました。オンライン会議や在宅勤務など、新しい手段を得ることができました。 “活動再開します” の続きを読む