リロケーションダメージ

リロケーションダメージとは、 場所や暮らしなどの生活環境変化がストレスとなり、不安や混乱が生じ、不眠、不穏、興奮、うつ症状、認知症の症状などが起きることを言うそうです。
私事で恐縮ですが、亡くなった母が生前、心筋梗塞で入院したときのことです。カテーテルの処置をしてもらい数日で退院して自宅に帰ってきました。本当は、もう少し入院をしていなければならなかったようです。当時、私は、休日もなく、早朝から深夜まで仕事のために家を空けていたので、病気の母を一人家に置いておくよりは、環境の整った病院にいてくれた方が安心だったのですが、主治医の先生と相談して、早めに退院させていただきました。
入院して母が軽い認知症のようになったからです。病気への不安と慣れない環境のせいで、そのようになってしまったようです。自宅に帰ってきたとき、まだ体力は十分に回復していませんでしたが、認知症のような症状は全くでなくなりました。今考えると、これがリロケーションダメージというものだったでしょう。
東日本大震災から8年がたち、復興住宅に入居した方たちの中に、不眠症や認知症などで悩んでいる方々が大勢いらっしゃることを知りました。阪神・淡路大震災のときも、復興住宅での孤独死が問題になりましたので、今回もそのようなことにならなければいいのだが、と心配をしていたのですが、残念ながら、以前の教訓が十分に生かされていなかったようです。 “リロケーションダメージ” の続きを読む