緊急事態宣言の解除に続き、先週末からは県境を越える移動も解禁されました。これを受けて、多くの観光地や都心の繁華街などでは人出が随分増えているようです。しかし、用心をして外出を控えている人がいたり、何よりも外国人観光客がいないので、コロナ以前の人出には及びません。
出かけている人はマスクをしたり、周りの人との距離を意識したり、感染防止に気を配っているようです。お店側はその何倍も感染防止に配慮しています。万が一、自分の店が原因で一人でも感染者を出してしまえば、せっかく再開できた営業が再び自粛に追いやられる危険性があるからです。4月から長期にわたって営業の自粛や縮小を求められてきて、いずれの企業もギリギリ何とか持ちこたえている状態でしょう。そんなときに再び自粛を求められたら、これ以上持ちこたえることはできないというのが、企業の本音ではないでしょうか。
ですから、営業を再開したものの、換気やソーシャルディスタンスに最大限配慮して、恐らく満席になったとしても採算がとれない状況の店も少なくないと思います。それでも、少ない日銭を稼ぐことは重要で、また、営業していることで以前のような状況に戻るまでお客さまに忘れられないようにしたい、という思いもあって、経営者たちは頑張っているのだと思います。
「人と人が会えば、人と人とが触れ合えば、コロナウイルスの感染を拡大させてしまう」ということから、非接触に対する試みや模索が続けられています。生き残りをかけた各企業は真剣で、対応は非常に速いと感じています。例えば、注文した料理をロボットが運んできたり、ネットで注文した品物がロッカーに入れられていてそこから取り出すようになっていたり…。これらのサービスはコロナ以前からありましたが、より洗練されて急速に普及しようとしています。
人口減少が続く日本ですから人手不足は深刻で、ロボットなどが代わって作業をする必要性は以前からもありましたが、その不足以上に人手を省いたビジネスモデルが普及しそうです。
それでは省かれてしまった人たちはどうすればいいのでしょうか。「withコロナ時代」の入り口で、経営者はそれらの人材の活用も考慮すべきと思います。人々の収入が減るということは、失業者が増えるということは、自社の顧客を減らすことにもつながります。それでは合理的な改革とは言えません。企業の将来が見えてきません。これまで以上に、多角的にモノゴトを見る能力が経営者には求められています。
nf528主宰 二神 典子