取捨選択

原稿の募集要項などに「取捨選択は編集部にご一任ください」と書かれていることがあります。編集者やライターでなくても、自分が書いた原稿が字数オーバーで短くしなければならないという経験をお持ちの方も多いと思います。
よく「なかなか短くできなくて」というご相談をいただきますが、それは当然のことです。取捨選択というのは、何を取り上げて、何を捨てるかを選ぶということですが、多くの場合、「短くするのだから」ということで捨てることばかりを考えてしまっていませんか。自分が大事だと思って取り上げた内容ですから、捨てることなんてできません。

そこで発想を変えて、この中から何を取り上げるかを考えてみてください。順番に取り上げていって、字数になったところでおしまいです。捨てるのではなく、拾っていくのですから、気分が楽になるはずです。
「順番に」と書きましたが、どのような順番なのかが大切です。当然一番言いたいこと、知ってもらわなければいけないものが第1位です。でも問題は2番目以降です。例えば、文章が5つに分けられるとして、そのうちの3つだけ取り上げるとしたら、言いたいこと、知ってもらいたいことが大きい部分から1、2、3と3つを選んでいくのではありません。
1番の次は、その1番の内容や大切さを強調するもの、補完するものが2番になります。全体の内容がわかる文章があればそれも必要です。選ぶのはこの3つです。でも、全体の内容が見えるような文章がなければ、最初の文章から選ぶのは2つだけで、全体を説明する文章を加える必要があります。
最後にこれら3つの文章の順番を入れ替えたり、つなぎの言葉を入れ替えたりして文章を整え、完成です。
ポイントは、「捨てない」で「拾う」こと。これが取捨選択、そして文章を短くする時の基本です。これが私自身の編集者としての考え方の基本でもあります。

nf528主宰 二神 典子

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