勇気ある撤退

小学校6年生のとき、林間学校で大山(だいせん 鳥取県)に登りました。その日、朝から天気はそれほど良くなかったのですが、9合目を過ぎたあたりだったでしょうか、先生の指示で引き返すことになりました。頂上は目前です。後から登ってくる人たちは私たちを追い越して頂上を目指しています。
「ここまで来たのだから頂上まで行きたい」と思ったのは私だけではなかったと思います。随分下まで降りてきて昼食を取っているときに、雨が降り始めました。私たちは急いで荷物を片付けて出発しました。細い山道はすぐに川のようになってしまいました。宿に着いたころには、みんなびしょ濡れです。あのまま頂上まで行っていたら、私たちはもっとひどい目に遭っていたことでしょう。
「山は危険。天候が変わったら勇気をもって引き返すことが大事だ」。随分以前のことですから、具体的には覚えていませんが、そのとき先生はそのような話をしてくださいました。そして、それ以来、私の中に「無理をしないで引き返すことが大事な時もある」ということが、深く刻まれました。 “勇気ある撤退” の続きを読む