あの日… 東日本大震災に思う 2

2011年3月11日、東日本大震災が起こったとき、ビルの点検のために1時間ほど外に避難していたことは、前回のコラムに書きました。そして、事務所に戻ってコンピューターを立ち上げインターネットでニュースを見て津波のことを知ったと書きました。
その時なぜインターネットのニュースを確認したのかといえば、その前に確認したメールに地震だけではなく津波のお見舞いも書かれていたからです。「津波?」その意味が理解できなかった私は、インターネットで情報を探すことにしたのです。
私が受け取ったメールの差出人は、イギリスのロータリークラブの会員でした。そこにはお見舞いだけではなく支援の申し出も書かれていました。そのメール届いたのは津波が発生して30分ほどのころ。日本から遠く離れたイギリスの方が渦中にある私たちよりずっと早くその情報をキャッチしていたのです。
東日本大震災だけではありません。地震、台風をはじめ、どのような災害が起こっても、一番情報が必要な渦中の人に最も情報が届きにくいのです。正しい情報は安心につながります。どのような状況にあるのか、必要な生活用品などはどこに行けば手に入るのか、医療はどうなっているのかなど、被災者が正しくわかりやすい情報を受け取ることができるように、支援計画には情報発信も組み込んでいただきたいと思います。
一方、情報を受け取る側も正しい情報なのか、デマなのかを注意深く見分けなければいけません。東日本大震災のときも、たくさんのデマ情報がインターネットを通して流され、拡散されました。「放射線被曝はヨウ素で防げるので、ヨウ素系のうがい薬を飲むといい」などといったものがあったのを覚えています。
今回の新型コロナウィルスに関しても「トイレットペーパーは中国で製造しているのでなくなる」というデマが流れ、店からトイレットペーパーやティッシュペーパーが消えてしまいました。これはデマで十分に在庫があるとアナウンスされて久しい今でもトイレットペーパーが十分に供給されていません。これは品物がないのではなく、突然にたくさん売れてしまったので補充するための流通が追いついていないからです。
多くの人がデマに惑わされて動いてしまうと、必要以上に被害が広がってしまいます。正しい情報がどうかの確認に加えて、いざというときに慌てないように日頃の備えも大切だと思います。
私は阪神大震災で被災した方のご意見を参考に、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、水、食料などを余分にストックしています。食料と水は1週間分と思っていたのですが、東日本大震災のときの経験から今は2週間から1か月分を目処に保存して、古いものから使って買い足すようにしています。今回の経験で、震災だけではなく、ウィルス感染の広がりのためにもある程度のストックが必要なことを再確認しました。私もそうですが、ほとんどの方が狭い自宅に余分なものを置きたくないとお考えのことと思います。しかし、いざというときにパニックを増幅しないためにも、デマ情報に惑わされないためにも、日頃からの備えを見直したほうが良さそうです。

nf528主宰 二神 典子