広辞苑

先日、新しい『広辞苑』が発行されました。『広辞苑』というのは分厚くて、重くて、本棚で場所を取るし、取り扱いも大変です。これは、『広辞苑』に限らず、『大辞林』や『英和辞典』、また、『現代用語辞典』や『百科事典』などにも同じことが言えます。
新聞を読んだり、本を読んだりしていて知らない言葉が出てきたら、手元のスマートフォンを使って検索をすれば、ほとんどのことはわかります。本当に便利になりました。
しかし、新聞や本などを通して出合う言葉以外にも、たくさんの言葉が存在します。知っていれば役に立ったり、興味が持てることに出合えたりする言葉もたくさんあるはずです。

デジタルの世界は目的に到達するのが易しく、簡単に答えを見つけることができますが、目的以外のものに出合うチャンスは限られているように思います。言葉の意味を簡単に見つけることができますが、それだけで終わってしまうことが多いように思います。
『広辞苑』のような印刷物は、目的の意味を調べるのには少し手間がかかりますが、その過程で、思わぬ言葉との出合いがあります。そこで出合った言葉たちを、自分のものとして使うこともできるようになると思います。
一つでも多くの言葉を知っていれば、何かを表現するとき、自分の考えにより近い言葉を選ぶことができ、相手に思いを伝えやすくなります。
これは辞書だけでなく、新聞や雑誌でも同じことがいえるのではないでしょうか。インターネットなら、自分が知りたいニュースをすぐに探し出すことができます。雑誌は書店に足を運ばなければいけませんが、同じ号に出でいる別の記事の中に、今まで知らなかった別の記事を見つけることができ、その記事が後で役に立ったという経験を持っています。何よりも、書店で雑誌や本の棚を眺めているだけで、たくさんの興味ある情報に出合えます。
今、信じられる確実な情報を見極める能力が問われています。また、新しいアイデアも要求されています。デジタルに関するさまざまな知識が求められる時代ですが、だからこそ、アナログ情報から得られるアイデアが貴重な時代かもしれない、そんなことを考えています。

 nf528主宰 二神 典子

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