インスタ映え

昨年の流行語大賞にも選ばれた「インスタ映え」。インスタグラムが何なのか知らなくてもこの言葉はわかる、という方も多いと思います。
「インスタ映え」とは、簡単に言えばインスタグラムいう写真中心のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で注目されるような写真ということでしょうか。数多くの写真の中から注目されるようにしなければならないのですから、被写体に工夫したり、美しい色にこだわったり……。スマートフォンやデジタルカメラにも、美しい色に仕上がったり、ちょっと変わった雰囲気に仕上がったりするような、さまざまな機能が付くようになりました。自撮り棒はじめ自撮りできるツールもできました。

以前は、カメラの機能に撮影者の技術が追い付かなかったのですが、最近、撮影をしている様子を観察すると、少し右に行ったり左に行ったり、上から撮ったり下から撮ったりと、プロ顔負けのアングルを狙っている人も増えてきました。
企業も商魂たくましく、スマートフォンやデジタルカメラの機能はもちろんですが、スウィーツや商品のラベルなどに工夫を凝らし「インスタ映え」することをうたい文句に商品開発を進めています。
「インスタ映え」を狙う人々の琴線に触れれば、国内はもとより、広く世界中から多くの人を集めたり、自社製品を世界中の人が買ってくれたりするのですから、企業が必死になるのも無理はありません。
ところでこの「インスタ映え」、長年カメラを扱っている者からすれば、ちょっと心配なこともあります。人々の好みがどんどん華やかなものに向いているために、カメラの色の設定がどんどん鮮やかになっていて、確かに出来上がりは美しいのですが、自然のやわらかな色味と乖離してきているように思えるのです。
以前、ある人の講演で、デジタル時代に育った若い人たちはその色数だけしか色を区別できない、自然界には微妙に違う色がたくさんあるのに皆同じ色に見えてしまう、というお話を聞いたことがあります。
できるだけ時間をつくって自然豊かな場所に出かけ、木々の緑、海の青…自然の中に含まれる数知れない色をしっかり目に焼き付け、頭に覚えさせましょう。豊かな色彩感覚は豊かな心につながると思います。

 nf528主宰 二神 典子

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