テレワークの副産物

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために日本全国に緊急事態宣言が出され、仕事もテレワークにするように求められています。これに応えて、一部または全部を在宅勤務、テレワークにした企業があり、通勤電車の混雑は少し解消されたようです。
ところで、このテレワークですが、自宅で仕事をするのはダラダラして効率が悪いといった感想も多く聞かれます。しかし、あるベンチャー企業で社員に感想を聞いたところ「効率が上がった」「変わらない」という意見が多数を占めたとのこと。そこで、この企業では緊急事態宣言が解除された後も週の半分はテレワークにすることを決め、借りているオフィスの一部の契約を解除することにしたという話をニュースで知りました。
長い歴史の積み上げで仕事の仕組みを作ってきた企業とって、そのやり方を変えるのは大変なことだろうと思います。歴史が浅く、若い人の多いベンチャー企業だからこそ切り替えが早くできるのかもしれません。
テレワークだと通勤時間の分、時間の余裕ができます。その分、家族と過ごしたり、趣味に興じたり、または、キャリアアップのために勉強をしたり、自分のために使える時間が増えます。今、通勤を考えて都心に近い狭いマンションに住んでいるから仕事をする部屋がなくて大変だと思いますが、通勤のことを考えなければ都心から少し離れた家に住んであこがれの書斎を手に入れることだってできるかもしれません。それぞれの好みや事情に合わせた生活ができるようになります。
一方、企業の側にとってもメリットがあります。賃料の高い都心のオフィスの面積を減らすことができれば、かなりのコストダウンになります。通勤手当も減ります。もちろんテレワークのためのシステムやそのためのコストがかかりますが、その方がずっと安く済むはずです。
私事で恐縮ですが、長年勤めていた編集事務所を退職し自宅で仕事をしています。平日に旅行に出かけ週末に仕事をしたり、満員電車から解放されたり、自分の都合で働けるのは本当にありがたいことと思っています。
新型コロナウイルスの影響で売り上げが大幅に落ち込んだ会社や店舗が廃業を考えてオフィスや店の賃貸契約を解約する動きも出ています。加えてテレワークなどの普及で都心のオフィス需要が減る可能性もでてきました。地方の街で市街地の商店街が郊外の大型店との競争に負けシャッター通りになってしまっていることが話題になって久しいのですが、今後は同じようなことが都心でも見られるようになってしまうかもしれません。
東京にはオリンピックを当てにして、新しいビルがどんどん建築されていますが、供給過多にならないか心配です。ビルのオーナーにも新しい発想のビジネスか求められています。

nf528主宰 二神 典子