手書きのマジック

随分古い話ですが、原稿依頼や貴重なポジフィルムの貸出依頼などは、専門の会社に依頼して、和紙にタイプで打っていただいていました。ワープロが導入されると、ワープロで手紙を打って、和紙に印刷して送りました。ワープロはそれほど手間がかからないのですが、「丁寧にタイピングしていただいて恐縮です」といった返事をいただいたものです。
それからしばらくしてワープロが普及した頃、私は和紙の便せんに万年筆で依頼状を書いて送っていました。その頃はタイプ印刷のありがた味はなくなり、反対に手書きが重宝されるようになってきたからです。「ご丁寧に手書きのお手紙をいただき、恐縮です」と言われるようになりました。
私自身もそうですが、仕事をしていると毎日多くの手紙が送られてきます。メールが主流になった今でもそれなりの量の手紙が届きます。パソコンで一斉に印刷された宛名シールを貼って送られてくる手紙は開けないうちに忘れてしまうことがありませんか。一方で、手書きの宛名なら開いてみよう、目を通そうという気持ちになるものです。
買い物をするとその店から手書きのお礼状が届くことがあります。そうすると、また寄ってみようという気になります。そして、気がつくと行きつけの店になっていたりします。
原稿や講演の依頼状などがメールで届くようになりました。正直、手紙でいただくと多くの封筒の中に埋まってしまい慌てることも多く、メールの方が管理しやすくありがたいと思うのですが、お礼状などは短くても手書きの手紙をいただくと心温まるように思います。
自社の認知度アップに手書きを活用してみてはいかがでしょうか。

nf528主宰 二神 典子