緊急事態です

新型コロナウイルスの感染は拡大し続け、世界中を恐怖に陥れています。このウイルスは、何よりも人々の健康を奪い、命を奪うことが一番恐ろしいのですが、多くの方々は、経済への影響も心配されていると思います。
グローバル化と言われて久しいこの時代に、国境を閉ざして、人々もモノも行き来することができなくなりました。国境を越えて入ってくる部品が入らなくなり、工場が動かなくなりました。旅行者が来なくなって、ホテルや観光地が打撃を受けました。さまざまなイベントや会合が中止になりました。人が街に出なくなって買い物や飲食をしなくなりました。
経済損失は計り知れませんし、この状況が今後いつまで続くのかもわからないのです。と、評論家のように一言で片づけられないのが、個々の企業、個々の店です。嵐が吹き去るまでじっと耐えられればいいのですが、その前に立ち行かなくなってしまうと心配されている経営者も多いことでしょう。では、こんな時にいったい何をすればいいのでしょうか。
止まってしまった生産ラインを使って、不足しているマスクの生産を開始した企業があります。最近では水着や下着のメーカーまで生産に乗り出しています。自社の工場や技術を応用して、今後不足しそうになってきた人工呼吸器の生産を開始した企業があります。経済活動に貢献しようと、従業員に特別ボーナスを支給した会社がありました。これらは、直面している問題解決に貢献しているということで次々にメディアに取り上げられています。
タクシーに乗る人はすっかり減りましたが、怖いので外に出たくないという人に代わって買い物をして届けるサービスを始めた会社があります。客足が遠のいた飲食店では、ずっと後まで使える食事券を発行して、運転資金をひねり出す工夫をしています。IT関係の企業で飲食店の支援のためのサイトを立ち上げた会社もあるようです。
追いつめられると、いろいろなアイデアが出てきます。それによって、新しいビジネスモデルを構築したり、新しい顧客を獲得したりすることもできます。メディアでは、今、明るい話題を求めています。そこで、この苦境を乗り越える工夫をしている企業を探して紹介をしていますから、自社を知ってもらうチャンスでもあるのです。
「何を呑気なことを言っている。そんな余裕なんてないよ」「アイデアなんて浮かばない」とおっしゃる方も多いと思います。そんな方は私のように、ネットやテレビ、新聞でいろいろな事例を拾い集めてみてください。真似できそうなアイデアがあると思います。乗ることのできる、助けてもらえそうなそんなシステムを見つけることができるかもしれません。
見えない出口ですが、それでも出口を探さなければいけない。緊急事態には、柔軟な発想と対応が求められています。

nf528主宰 二神 典子