東京は今、再開発の真っただ中です。オリンピックを間近に控え、その速度を増してきています。つい最近も、地下鉄銀座線の渋谷駅が新しくなって大きく報道されたばかりです。数年前、東急東横線が副都心線とつながり、地上にあった駅が地下に移って以来、その駅の跡地も含めて、渋谷駅とその周辺は大きく変貌を遂げてきています。東急東横線で渋谷に行くのは特に大変で、工事の進行に合わせて通路や出口が変わるので、地上に出たり乗り換えたりするのに、迷子になってしまいそうです。クルマで通りかかっても工事中のこの街はややこしくて、慣れていないと車線を見失いそうになります。
新しい国立競技場が完成した千駄ヶ谷周辺や、虎ノ門、汐留、日本橋、有明……、東京のいたるところで同じような光景を見ることができます。高速道路の開通も相次いで、私の古いカーナビではとても対応しきれなくなってきました。買い替えてもまたすぐに役に立たなくなってしまいそうなので、ついにカーナビをあきらめて、最近はスマホをカーナビとして利用しています。
ところで、前回、1964年に開催された東京オリンピックの時も、海外からのお客さまを迎えるために東京ではいくつもの工事が行われ、首都高や新幹線が開通したり、ホテルが開業するなどしました。あれから54年たった今、それらの多くは老朽化が問題になっています。
東京だけではありません。東京オリンピック景気や高度成長の波に乗って一気に近代化され整備された道路や橋、ビルなどは、一気に老朽化への道を進むことになりました。今、一気に生まれ変わろうとしている東京の街は、数十年後に一気に老朽化の波に襲われることになるでしょう。
前回の東京オリンピックの時に建設したビルや道路の現在の課題を踏まえ、数十年後に一気に負担がかからないように、メンテナンスなど、きちんと計画を立てていかなくてはいけません。増して、前回と違い、人口が減り成長も鈍ってきている時代です。それにも関わらず、前回より大きく変化しつつある東京の街です。
新しくできたビルや街並みに心ときめかせながら、半面、未来が不安になります。東京が巨大な廃墟とならないよう、長期的な視野をもって開発を進めていただきたいと願うばかりです。
nf528主宰 二神 典子