非合理的な生活

私は、元来が怠け者です。もう少し具体的に申し上げると、体を動かすのが嫌いということです。ご存じのように、東京は地下鉄が入り組んでいます。どこで乗り換えればいいのか、乗り換えや目的地に行くためには、何両目の車両の何番目のドアに乗ればいいのか、今ではスマホで簡単に調べることができますが、そんな便利なツールがなかった時代でも、大抵の路線のどの位置に乗ればいいかを把握していました。降りてから余分に歩くのが嫌いで、また、混雑したエスカレーターや改札口で待つのが嫌いだったというのが、その理由です。

事務所を辞めて自宅で仕事をするようになったら、みるみるうちに体重が増え、シーズン前に購入した洋服が、いよいよ着ようという時期になったら小さくなってしまっていたという状況に陥りました。
勤めていた頃も、取材以外は、一日中、事務所でコンピュータとにらめっこをしていたので、以前もそれほど動いていたとは思えないのですが、満員電車に揺られながらの通勤は結構エネルギーを使っていたということだったのでしょう。
このままではとんでもないことになると反省し、今年の初めから歩き始めました。1日、1時間から1時間半程度、自宅の近くを歩き始め、初めての道や風景に楽しい思いをしたのは2週間ほど。ちょっと飽きてきました。次は、それまでより遠くまで歩いて行き、電車で帰る。時折はカメラを持参して少し遠出し、撮影。挫折をしないように、いろいろ工夫して歩き続けていますが、なかなか目標のエネルギー消費量に達しません。
そこで考えたのが「非合理的な生活」。電車や地下鉄で出掛ける時、エスカレーターを使わずに階段を使うようにする。あえて階段の近くに乗らず、余分に歩く。自宅では、例えば、料理や食事の片付けなど、必要なものを一つずつ運んで行ったり来たりする。そんな生活をすることです。一つひとつの動きはそれほど大きなエネルギーを必要としないのですが、この非合理的な動きが積み上げられると、結構、大きなエネルギー消費量となり、1日に1時間半も歩かなくても、目標を達成できるようになりました。
人間、動かなければ。これからも「非合理的な生活」を積み上げていきたいと思っています。

nf528主宰 二神 典子

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