苦手を克服

今年も確定申告の時期になりました。長年、給料をもらう立場でしたから確定申告とは縁がなかったのですが、寄付金控除を受けたり、住宅ローン減税を受けたりするようになり、確定申告をする機会がありました。確定申告に関して全く知識がない私でも、国税庁のホームページで該当する項目を探し、源泉徴収票などを見ながら質問に答えれば、申告用の書類が簡単に作成できて安堵したことをよく覚えています。
独立してフリーランスの編集者として仕事を始めたときに最初に購入したのが、経理、確定申告関係の書籍でした。そして税務署に行き青色申告業者の手続きをして、経理用のソフトを購入しました。簿記についてもほとんど知識のない私でしたが、購入した品物とその価格をコンピューターに打ち込むと自動的に仕分けをしてくれて、最終的には確定申告の書類が出来上がります。
とても簡単で驚きましたが、それでも初年度はマニュアルを見ながら、それなりに労力を費やしました。2年目はどこを見れば正しくチェックできるかが理解できるようになりました。1年分となると同じものなのに費目や記入方法が違っていることもありましたが、チェックして申告前に統一することができるようになりました。確定申告を済ませた段階でもう一度会計ソフトを見直し、毎月の決まった出費や収入やよく購入するものなどを登録して、選択するだけで内容も費目も、場合によっては金額も自動的に記入できるようになりました。
そのおかげで経理作業は随分時間が短縮され、加えて正確になりました。3年目については、昨年の12月末に確認作業まで終わり、決算作業をするだけになりました。また、その段階で少し登録項目を増やしましたから、4年目の今年はさらに経理関係の作業が楽になると思います。コンピューターは凄いと感心するばかりです。
ところで、決して自慢できることではありませんが、子どもの頃からお小遣い帳をつけるのが苦手でした。何度挫折したか……数えきれません。しかし、老後のためには仕事だけではなくプライベートなお金も把握しておく必要があると考え、きちんと家計簿をつけようと思い立ちました。
一昨年の暮れに書店や文具店などいろいろな店で探して、とても簡単な家計簿を見つけました。A4サイズ見開きで1か月分を記入できます。食費とその他に分けて毎日記入していくのですが、基本的には品目を書くのではなくレシートごとに記入していくというものです。これならさすがの私も楽に1年続けられると考え購入しました。
……ところが、実際はそれほど簡単ではありません。毎日の合計、費目別の週ごとの合計、すべての週ごとの合計、月の合計など、計算をする項目が多くて正直とても面倒でした。それでも仕事で経理事務をするようになったおかげで、何とか1年がんばりましたが、これでは2年目は無理と思い、そのレイアウトを参考にしながら、自分により合ったレイアウトを考え、購入金額を入れると、必要に応じて自動計算をするようにエクセルで作成しました。1つのシートが1か月分で、A3の用紙にプリントできるようにしました。1か月作業をしてみて、とても簡単で今年はかなり楽ができると思います。これなら続けられそうです。
事業用の経理に関しても、家庭用の収支も、その作業が苦手なのは今も変わりません。電卓で計算すると何回もやり直さなければいけなかったりします。しかし、コンピューターを利用することで、苦手なことができるようになりました。本当に便利な時代になったものだと思います。一方で、経理や税務を専門にしている方々の仕事は脅かされることになります。単純作業でなく、経験と専門知識を生かした提案がどれだけできるか。ここが勝負です。
私のような編集者にも同様のことが言えます。要約すること、写真を選ぶこと、レイアウトをすることなど、編集のあらゆる段階がコンピューターで自動にできる時代になってきています。コンピューターにはできない仕事、一味違った仕事ができるように心しなければいけません。大変な時代になりましたが、私自身は楽しい時代になったと思っています。

nf528主宰 二神 典子