現場主義

前回「写真は真を写すのか」というテーマで書きました。今回はその続編です。
私たちが日ごろ目にする、新聞や雑誌の写真、またはテレビの映像などは、ほとんどがプロによって撮影されたものです。プロは、そのニュースの内容を読者や視聴者に、より伝わるような画像や映像を撮ろうとするのだと思います。これは、ねつ造とか情報操作といったものではなく、より真実に迫ろうとした結果です。

しかし、何かの事柄に対して受ける印象というのは一人ひとり異なっていますから、もし、皆さんがその場に居合わせたとしたら、皆さんが受け止めたこととは違う画像や映像になっているかもしれません。
ですから私は、できるだけその場にいたい、行ってみたいと思っています。その場で、その瞬間に感じたこと、考えたことこそ、私にとっての事実、真実だと考えているからです。
今年の6月にダラス(アメリカ・テキサス州)を訪れました。ダラスといえば、JFK、ケネディ大統領が暗殺された、というくらいしか思い浮かびません。2泊というタイトなスケジュールで、ほかはどこにも行かなくていいから、その現場だけは自分の目で見ておきたいと思っていました。
この現場は、いまや観光地となっていて、たくさんの人が訪れていました。ケネディ大統領が撃たれたまさにその場所には×印がかかれていました。道路の真ん中ですが、そこに立って記念撮影をする人も少なくありません。
その横、ちょうど交差点の角に、犯人とされているリー・ハーヴェイ・オズワルドがここから撃ったとされるビルが残っており、そのビルのその階がシックスロア博物館になっていて、ケネディ暗殺に関連するさまざまな写真や映像が展示されており、イヤホンガイド(日本語のガイドもあります)で詳しい説明を聞くことができました。
さて、問題のそのビルのその窓は、当時の状況がそのまま再現されていて入ることはできませんでしたが、隣の窓から先ほどの×印がかかれた辺りを確認することができます。ケネディ大統領が暗殺されたのは、1963年11月22日。目の前の街路樹がその×印を覆い隠しそうになっていたことが、歳月を感じさせましたが、何とかその辺りを確認できました。
下から見ると近く見える6階のその窓ですが、上から見ると現場は結構遠いと思いました。現場は交差点を曲がったすぐ後で、いくらスピードを落としていたとしても、この距離から動いているクルマに向けて狙撃して当たるというのは、狙撃者がよほどの腕前だったのか、ケネディ大統領にとっては不運な奇跡だったのか。
本当にオズワルトが犯人だったのかという疑問の声が上がっていますが、その場所に立ってみて、私自身も狙撃手としての腕があったとは思えないオズワルド犯人説に疑問がわいてきました。
真相はわかりませんが、これまでテレビなどで何度も見てきた時とは現場の印象が大きく変わったことは事実です。これからもできる限りいろいろな所へ出かけ、この目で現場を見たいと思っています。

2017 nf528主宰 二神 典子

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