写真は真実を写すのか

「聞くと見るでは大違い」などという経験は誰にもあることだと思います。私自身、取材で写真を撮ったり、その写真を雑誌に掲載したりする時、多少の細工をすることがあります。あるイベントの会場全体を撮影すると閑散として見えてしまうといった場合です。人が集まっている所だけを撮れば、盛況に見えるのです。
何かを加えたり、何かを消したりしているということではないので、その写真は決してウソやヤラセではありません。その時、そこにあった事実です。しかし、その場にいなかった人が受ける印象が、事実とは違ったものになるかもしれません。

実は、その逆のこともあります。それはその場がすごく盛り上がっているのに、写真でその盛況ぶりが感じられない場合があるということです。『ロータリーの友』はロータリークラブの会員向けの機関誌ですから、会員の方からの投稿写真がほとんどです。最近カメラは性能がいいので、いずれもきれいに撮れているのですが、どうも迫力に欠けていて、せっかくの盛況ぶりが伝わってこないのです。「こんなにたくさんの人が集まってくれた。おかげで盛況だった」ということで、集まったたくさんの人を撮ろうとする撮影者の気持ちはわかるのですが、迫力に欠けるために印象の薄いものになっているのです。
また、同じ範囲を切りとった写真でも、それが望遠レンズで撮られたのか、ワイドレンズで撮られたものなのかで印象は異なりますし、自分の目線で撮るのか、高い位置から撮るのか、低い位置から撮るのかでも印象は変わります。
写真は「真を写す」と書きますが、本当に真を写しているのでしょうか。画像そのものは真実であっても、印象までもしっかり伝えることはできません。また、撮影者の思いを伝えるのも、なかなか難しいものです。
ではどうすればいいのでしょうか。写真を撮る時、全体、部分、目線、高い位置、低い位置と、いくつかパターンで撮ってみてください。そしてそれらの写真を確認して、どの写真がその場の雰囲気を一番よく表しているのかを確認してみてください。この作業を繰り返していくうちに、その場にふさわしい写真の撮り方がわかるようになってきます。そして、自分にしか撮れない、自分らしい一枚を撮影できるようになることでしょう。

 nf528主宰 二神 典子

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