ロゴを活用

企業のロゴは、その企業自体や、製品、サービのイメージを消費者に印象づける大切な武器です。そのロゴを見るだけで消費者は企業名や製品を思い浮かべることができます。企業は自社のロゴを周知するように努力していますし、反対に何か悪いイメージがついた場合には、ロゴを変えてイメージを一新することもあります。
その企業の製品やサービスだけでなく、その企業が社会的にどのように貢献しているかが企業イメージに結びつくケースも多くあります。
新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大していく今、多くの人々が企業に対して新型コロナウイルス対策への支援を求めています。家電や自動車をつくる企業がその技術や設備を活用して不足しているマスクやフェイスシールドを製造していますが、これも社会貢献とともに企業のイメージ向上に結びつきます。
少し頑張れば何とかなるのに売り上げの激減を理由に従業員や派遣の人々を解雇する動きが出ています。目先のことだけを考えると、ここで解雇したり減給したりすることは得策のように見えますが、長い目で見た場合は、決してプラスにはなりません。私たちはそのような企業の製品を買おうとは思いません。そのような会社に勤めようとは思いません。顧客も人材も失いかねないのです。
一方で、こんな時だからと、従業員に謝礼金などを支給する企業もあります。スーパーで従業員やパートの方々が感染リスクのある中で頑張ってくれているからと特別にいくらかを支給することになったとニュースで見ました。その前に、地方の中小企業で、地元で使うことを条件に特別金を従業員に支給した話をニュースで見ました。自社の業績が落ちてきている中での経営者の決断です。長い目でみれば、このような企業は業績にプラスの効果が出てくることでしょう。
さて、企業の大切なロゴを使って新型コロナウイルスの感染拡大防止を呼び掛ける動きが出てきました。マクドナルドは印象的なMの文字のロゴを中心から左右に分けて切り離し、ソーシャルディスタンスを呼びかけました。フォルクスワーゲンは、ロゴのWの文字を90度回転させてウイルスを食べてしまう看板を掲げました。
本来ならば、企業イメージ、ブランドイメージを定着させるために色や使い方などが厳格に決められていて、その通りに使うことが求められているロゴですが、だからこそ、大きなインパクトをもって報道され、消費者に対してこの難局に貢献している企業という良いイメージに結びつける効果があります。これも儲け優先という下心からではなく、純粋に何か役に立ちたいと思う企業の思いの上に成り立つことですが…。今、経営者の社会的責任が大きく問われています。企業にとって逆風のときだからこそ、踏ん張ってその行く末を考え直す機会なのです。

nf528主宰 二神 典子