携帯・スマホのない世界

Softbankの通信障害でいろいろな混乱が起こったというニュースを見ました。地方から東京に来た人が地図アプリを使えなくて交番で道を尋ねたり、モバイルスイカが使えなかったり、コンサートの入場券が表示できなかったり、宅配業者の配達に支障が出たり……。日頃スマホを紛失したら、財布を失くすより大変かもしれないと思っていたのですが、私が想像する以上の影響が出ていました。
クレジットカードも、銀行の決済もすべてがスマホでできる時代になりました。さまざまなところでアプリをダウンロードして、スマホで決済するように勧められます。確かにスマホに入れて持ち歩けば、カードが不要になり財布の中はすっきりします。しかし、今回のような通信障害が起これば、すべて使えなくなってしまう危険性があることがわかりました。もっともカードを持ち歩いていても決済には通信機能が必要ですから、同様のことが起こる可能性があります。
政府は来年の消費税の値上げや東京オリンピックを機に、現金での決済を減らそうとしています。確かに外国に行けば驚くほどのカード社会ですが、私自身は、日本にいても現金を使う機会はほとんどなくて、クレジットやプリペイドカードで支払うことが多くなりました。先日、財布を失くしてカードを止めましたが、新しいカードが届くまでの間、どれだけ不便かを体験しました。
そもそも完璧なシステムなどというものはありません。企業や政府は障害が起きたときに速やかに迂回して通信できるシステムを構築しなければいけません。価格競争の激しい時代にコスト高につながる余計なシステムはつくりたくないという企業の気持ちは理解できます。しかし、障害が起こったときの損害も視野に入れてコストを考えると、コストがかからないのはどちらか、それは原子力発電のことを考えれば自明のことと思います。
また、私たちもスマホを頼りすぎないで、チケットのQRコードはプリントアウトをしたり、待ち合わせ場所をしっかり決めたり、クルマには道路地図を積むなどの備えは必要だと思いました。備えあれば憂いなしです。

nf528主宰 二神 典子