発想が「昭和」じゃない!?

先日、「天声人語」(『朝日新聞』2019年8月1日)で、「梅田」の駅名が変わることを知りました。皆さまご存じのことと思いますが、梅田駅はJR大阪駅に隣接する阪急電鉄、阪神電鉄の駅名で、それが今年の10月から「大阪梅田」駅になるとのこと。
同じところなのに駅名が違うのは紛らわしいとの指摘が以前からあり、外国人観光客の増加が駅名変更の決め手になったと、記事にはありました。同じ阪急電鉄の「河原町」も「京都河原町」に変更されるとのことです。「河原町」は大阪(十三)と京都を結ぶ阪急京都線始発駅で、京都の玄関となる駅ではありますが、JR京都駅と隣接しているわけではありません。
同じところなのに駅名が違うという例は、何もJRと私鉄に限ったことではありません。東京には地下鉄の乗換駅で駅名が違うというケースがいくつかあります。例えば、都営地下鉄三田線の「日比谷」の改札の目の前に東京メトロ有楽町線の「有楽町」の改札があったりします。
私は仕事で大阪や京都の地下鉄に乗ることも多かったのですが、乗換駅がわからなくて困ったことはありません。少し以前なら「路線図」、近年ならスマホの乗換案内で調べることができるからです。
一人で海外に出かけ、電車や地下鉄などを乗り継いで観光をすることもありますが、この時も駅名が違うから乗換がわからなかったということはありません。旅行に出かける前にインターネットでその土地の路線図を入手することもグーグルマップで地図を確認することもできるからです。もちろん、現地でもスマホを使えば自分が今どこにいるかわかり、スマホに案内してもらいながら目的地に行くこともできます。
海外で困るのは言葉がわからないこと。駅名も読み方がさっぱりわかりません。それでもそのままのアルファベットを並べればネットで検索ができますから、検索して目的地に行くことができます。駅の表示は自分なりの勝手な読み方で覚えればいいので大きな問題はありません。この場合困るのは、同じところなのに違う駅名だということより、駅名が長いということです。なじみのない長い駅名を正確に打ち込むのは大変です。短ければ簡単に打ち込むことができます。覚えるのも簡単です。
同じところにある駅の名前が違って困ったのはネットなどがなかった昭和のころの話ではないでしょうか。外国人観光客をお迎えするに当たって大事なことは、駅名の統一ではなく、駅や街の案内表示に英語表記を増やすことです。どんな小さな駅でも券売機に英語(できるだけその他の言語も)に変えて切符が購入できるようにすることです。何かを訪ねられた時に、お手伝いをすることです。たとえ英語が得意ではなくても、英語ができそうな人を探すお手伝いはできます。それこそが「おもてなし」ではないでしょぅか。

nf528主宰 二神 典子