加湿器難民

昨年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、いろいろなものが市場から消えました。最初はマスク。マスク難民という言葉ができるほど、マスクを入手するのが難しくなりました。私はと言えば、それまでマスクを使用することがほとんどありませんでしたが、マスクが店頭から消える少し前、まだそれほどこのウイルスが深刻だと思われていなかった時に6枚入りのマスクを2袋、30枚入りのマスクを1箱購入していたので、マスクのない時期を乗り切ることができました。私のようにマスクとほとんど縁のなかった人たちがマスクを購入したので、店頭から消えるのは当然のことだったと思います。
次に消えたのがティッシュペーパーとトイレットペーパー。こちらは1月に通常の補給ということで、5箱入りのティッシュペーパーと12ロール入りのトイレットペーパーを買っていたので問題なし。実は、阪神大震災の折、被災者の方が「なくて困ったもの」として、トイレットペーパーを挙げていらしたので、それ以来、3か月分くらいの余裕をもって購入するようにしていたのです。
このほかにもスパゲッティーやインスタントラーメン、レトルト食品など多くのものが店頭から消えましたが、私は震災対策として余分に保存していたので、慌てることはありませんでした。これら保存していた品々は東日本大震災後の物資不測の中で大いに役立ちました。しかし、まさかウイルスの感染拡大で保存していたものが役に立つことになるとは思っていませんでした。マスクはともかく、それ以外のものの多くは、冷静に考えれば慌てて買う必要がないものがほとんどです。一種のパニック状態だったのでしょう。パニックにならないためにも、日ごろから備えておくことの必要性を改めて確認しました。
ところで、表題の加湿器について。冬、日本海側の私のふるさととは違い、東京はほとんど毎日晴天で、上京したころはそのことがとても幸せに思えたものです。一方で、乾燥という別の問題に悩まされています。
この時期になると、わが家の湿度は20%前後に下がってしまいます。そこで加湿器が活躍することになるのですが、あまり広くないわがマンションの部屋に加湿器が4台。結構加湿能力が高いものもあるのですが、すべての加湿器をフル回転してもようやく40%という日も多いのです。タンクも次々に空になり、補給に追われています。
「新型コロナウイルス感染対策には湿度が大事、50~60%を保つよう」にと専門家の方々が異口同音に紹介されているので、この冬は加湿器が売れているようです。そこで、私も大型の加湿器を1台購入し、加湿力が小さいものを廃棄しようと考え暮れに出かけました。加湿器は一般的に秋に新製品が発売され、お正月が終わるとかなり価格が下がります。大型の価格の高いものですと、2万円以上も安くなるのです。ですから、これまでは安くなるのを待って購入していました。それにもかかわらず少し高くてもかまわないと思い暮れに出かけたのですが、すでに在庫はなくなっていました。
「これもか…」と思うと同時に、あらためて何もかも変わってしまった日常を実感しました。いえいえ、「変わってしまった」ではなく「新しくなった」と前向きに考えることが大事なのだろうと思っています。前向きに考えることで、解決策が見つかり、このコロナ禍を乗り切ることができるのです。

nf528主宰 二神 典子