武士道は男たちだけのものではない

先日、「鈴木貫太郎記念館」(千葉県野田市関宿町1273)を訪問しました。鈴木貫太郎氏は、第2次世界大戦終戦時の内閣総理大臣。二・二六事件(1936年2月26日)の折には襲撃を受けたものの一命をとりとめました。
前述の記念館には、鈴木氏の遺品が展示されていて、氏の生涯や昭和初期の出来事を知ることができますが、中でも私が一番感動したのは、入口近くで繰り返し放映されていた、たか夫人が二・二六事件の状況を語っていた音声(夫人の写真付き)です。 “武士道は男たちだけのものではない” の続きを読む

言論の自由とメディアの責任

『新潮45』が休刊しました。同誌に掲載された記事が、人々から批判されたことが原因のようです。記事の内容についてのコメントは差し控えたいと思いますが、この一件で考えさせられたことがあります。
インターネットが発達し、最近では誰でも自由に自らの意見を発信することができるようになりました。「インスタ映え」などと言って、おいしそうな食べ物や美しい景色などを掲載することは、発信する方も、受け手の側も楽しい気分になります。しかし、同時に、根も葉もないいい加減な情報や、個人や多くの人々を傷つけるような情報も氾濫するようになりました。
日本では言論の自由が保障されています。自分の意見を自由に述べる権利が保障されています。だから何を言っても許されるのでしょうか。私たちは、自分が発信した情報によって傷つく人がいるのではないかということに心を配るべきではないでしょうか。私たちには言論の自由という権利とともに、他人、特に世間的に弱い立場の人々を守るという義務もあると思います。 “言論の自由とメディアの責任” の続きを読む

立場が変われば見方も変わる

大学時代、私は法学部の学生でした。法律に興味があるとか、弁護士や裁判官になりたいと思っていたわけではありません。あることが切っ掛けとなって国際政治や国際関係に興味を持ち、そういった勉強ができるところを探していたところ、たまたま私が入った大学は法学部に関連の学科があったというのが法学部を選んだ理由です。
余談ですが、当時は国際政治学部を持っている大学は少なく、私が入った大学のように法学部であったり、社会学部、文学部といった学部であったり、大学によって国際関係が学べる学部はさまざまでした。
したがって民法や刑法などは総論程度しか授業を取っていませんから、法学部の学生とは言っても、特に法律に詳しいわけではありません。それ以前に、それほど熱心な学生ではありませんでしたから、大学時代に学んだことを、今、どれくらい覚えているかと聞かれれば、ほとんど何も残っていないというお恥ずかしい次第です。
しかし、大学時代に学んだことで、1つだけですが、その後の生活や仕事で留意し、役立ててきたことがあります。それが表題の「立場が変われば見方も変わる」ということです。 “立場が変われば見方も変わる” の続きを読む

「費用対効果」の考え方

関西地方を襲った台風、北海道の大地震、と大きな災害が続きました。台風では、関西国際空港(関空)が高潮で浸水し、連絡橋に船が衝突して橋が損傷する被害が出ました。
関空は海上空港ですから、もちろん津波や高潮を想定して防潮堤が造られていたそうですが、その想定を超えた高潮に襲われ浸水してしまったとのことでした。最近は、50年に1度、100年に1度といった自然災害が日常茶飯事のように起こり、その度に「想定外」という言葉を耳にします。
2011年の東日本大震災の折には、想定を大きく超える津波に襲われ、多くの方々が犠牲になり、原子力発電所の事故には今も苦しめられています。この震災以降、想定外の災害を想定して、防潮堤を高くするなどの努力が続けられてきましたが、どのように想定しても、その想定を上回る災害が起こる可能性はあるようです。 “「費用対効果」の考え方” の続きを読む

伝言ゲーム

子どものころ、伝言ゲームをして遊んだことのあるという方は少なくないと思います。最初の人に何か文章を与えて、それを順番に数人の人に伝え最後の人が自分の聞いた文章を発表するというものです。
大抵の場合、最初の人が与えられた課題とはかなり異なった内容になってしまっていて、みんなで笑っておしまい、ということになります。
伝言ゲームは遊びですから、笑っておしまいでいいのですが、これがビジネスとなると、笑っておしまいでは済まされません。
最近、ある会合での出来事です。一枚の写真とともに、それに関するエピソードが紹介されました。その話に「えっ?」。知らなければ、単純に「そうか」と思える内容だと思うのですが、その写真の出来事に関わった私としては、全く違ったエピソードになっていたので、驚いてしまったという次第です。 “伝言ゲーム” の続きを読む

ロシアンルーレット

8月14日、イタリア・ジェノバで起こった高架橋崩落のニュースを見て寒気を覚えました。テレビの画面や新聞の写真は目を覆いたくなるようなものでした。しかし、これは他人事ではありません。今、2020年開催のオリンピックに向けて、東京は建設ラッシュです。
前回、東京でオリンピックが開催されたのは1964年。その時も、新幹線や高速道路などの建設が急ピッチで進められ、続いて高度経済成長の波に乗って、たくさんの道路や橋が整備されてきました。これらのおかげで、私たちは便利に快適に移動ができるようになるなど、たくさんの恩恵を受けてきました。これこそ東京オリンピックの輝かしいレガシーだったのだろうと思います。
しかし、あれから50年余が過ぎ、それらの道路や橋は老朽化が進み、早急に対策を講じないと危険な個所がたくさんあると言われて久しくなります。それなのに橋の補修や架け替えなどの工事は一向に進んでいません。 “ロシアンルーレット” の続きを読む

あなたのデータは大丈夫?

先日、7月の豪雨で水につかった病院で入院患者のケアができなくなったので、ほかの病院に患者を受け入れてもらうことになったというニュースを見ました。病院にはさまざまな精密機械があり、水につかればそれらは使用できなくなってしまいますから、ほかの病院に入院患者を移すというのはやむを得ないことだと思います。
しかし、その病院では患者のカルテのデータもすべて壊れてわからなくなってしまったとのこと。同病院の危機管理の甘さに少し腹が立ちました。2011年の東日本大震災の折、役所のデータが破壊されて住民の大事な記録が失われたことが大きな問題になったのを覚えている方も多いと思います。それ以来、企業や役所などの多くで、データのバックアップを進めてこられたと思っていたのです。 “あなたのデータは大丈夫?” の続きを読む

安全を取るか、便利さを取るか

先日、トロント(カナダ)でロータリーの国際大会が開催されました。会場は、エア・カナダ・センター。参加者には、会場に入るための持ち物の規制について書かれたメールが事前に送られてきました。そこには荷物のサイズが書かれていて、それより小さいものでなければいけないとなっていました。また、バックパックはダメで、やわらかい素材のものでなければいけないとも書かれていました。
大抵の場合、このような会場はエアコンが効きすぎていて寒いので、私はカーディガンやひざ掛け、レッグウォーマーなどの防寒具をたくさん持参します。一眼レフのカメラも持って行きます。指定されたサイズのカバンでは収納しきれません。仕方ないので、防寒具は着ていくことにし、ひざ掛けはいつもよりコンパクトなものにして、何とか指定サイズのカバンに押し込みました。 “安全を取るか、便利さを取るか” の続きを読む

変更はためらわず臨機応変に

猛暑が続きます。今年の夏は異常気象で特別に暑いと言われていますが、考えてみれば、この言葉、このところほぼ毎年聞いているように思います。毎日のように、何人熱中症になったというようなニュースを見ます。先日は小学生が亡くなりました。校庭での授業などで多くの生徒が倒れるというケースも少なくありません。
学校の行事や授業の予定はずっと以前から決められたものですから、変更しにくいのだと思います。しかし、何よりも命が大切です。その行事を実施しても何も問題は起こらないかもしれません。しかし、何かが起こってしまったら遅いのです。中止するのは勇気と決断がいるでしょうが、ぜひ、予定を変更する勇気を持っていただきたいと思います。 “変更はためらわず臨機応変に” の続きを読む